SAKUGE最終チャット予選

北陸大会決勝戦

岩佐久美の事件簿

 

 

 

岩佐久美・・・この物語の主人公。警察時代は心理学を駆使した難事件を解決し現在はフリーとして探偵事務所を開いている

沢田清文・・・この事件の犯人。俳優として脇役が多かったがスマッシュクイズの司会で脚光を浴びる。裏では麻薬の売買を・・・

富山織江・・・被害者。沢田の常連だったが、今は足を洗うつもりでいる

宮川警部・・・警視庁きっての鈍感刑事。苦しい時の岩佐頼みで事件を解決していた

他多数

 

 

富山「これをお返しします。まだ、このお金に手をつけていません」

沢田「どうしたんだい?これじゃあ足りないというのか」

富山「いえ、警察に自主します。もう麻薬からは足を洗いたいので」

沢田「そんなこといっても辛いぞー。やめるよりも、ほれ、やるがいいさ。それに今からクイズの本番だ。まさか今日の参加者全員がヤク中(麻薬中毒)とは誰も思わないだろうなぁ」

富山「・・・いえ、もう決心したんです。あんたのその悪趣味さにもううんざりです。これからどんなに辛いことがあろうとも麻薬に頼ることはこりごりです」

沢田「まて!それじゃあ俺のこともばらす気か」

富山「そういうことになります。」

沢田「何!!!!」

富山「私はもうこれ以上麻薬で苦しむ人をみたくないのです。あなたも罪を償ってください。」

 

富山が後ろを振り向き部屋を出ようとした。私は自分がつかまりたくない一心で手元にあった灰皿を手に取り富山の後頭部を一撃、そして無我夢中で頭を殴りつけていた。気がつくと、自分の服、あたり一面血だらけに、そして二度と動かなくなった富山の肉体がそこにはあった。

 

まずい・・・先ほどまでは富山への怒りからで興奮していたが・・・今はこの死体をどうにかしなければいけないというあせりにも似た興奮となってきた。興奮というにはいささか不謹慎だろうが殺人を起こした身としてはもう関係ない。まず何からはじめればいいんだ?私はホテルの廊下にでて周りに人の気配がないことを確認すると富山の体をまさぐってみると内ポケットに富山の部屋のルームキーがあった。幸い隣の部屋であるから死体を運ぶには苦にならない。あとはタイミングだ・・・

私は意を決すると富山の死体を肩に抱えた。富山の部屋にさっと入ると急いでドアを閉めた。まずは第一段階成功だ。急いで富山をベットの上に乗せると、富山の頭を今一度壁にぶつけた。そして血の跡がつくのを見届けるとそのまま手を離した。へたな小細工はいらない。後は鍵、そしてドアノブの指紋をふき取れば私がこの部屋に来たことを証明するものはなくなる。私はハンカチで指紋をふき取り部屋を出た。鍵はオートロック。これで密室の完成と自分のジョークに苦笑いできる余裕はあった。自分の部屋に戻るとあらためて愕然とした。いたるところに血痕が飛び散っている。灰皿はもちろん壁、ベットのシーツ、机、ありとあらゆる所に飛んでいる。私はそれをあらかたふきとった。しかし時間がない。今からクイズ番組「スマッシュクイズ」の司会をやらねばならない。大丈夫だろうか。俺の部屋まで捜索されないだろうか?いや、余計なことを考えるのはやめよう。私は司会に専念すればいいんだ・・・

私は壁にかけてあったスーツに着替えて机の上に置いといたよみかけの問題カードを乱暴にカバンに押し込みそのまま部屋を出た。本来ならば問題の読みをチェックしなければならないがそんな時間はない。数年前の二日酔いの次の日の一発本番みたいだ。あの時はぐだぐだだったが、今日は先ほど殺人という大舞台を行ったばかりだ。それに比べればこの後のレギュラー番組なんぞ関係ない・・・

ふとロビーの鏡に映った自分の姿を見て冷や汗が出た。ネクタイに血がついている。わたしはネクタイをぎこちなくとると念のためにトイレに入りスーツを確かめた。スーツにワイシャツ、ズボンに何も血はついていない。大丈夫だ。大丈夫なはずだ。こんなところで自分の一生を不意にしたくない。悪いのは富山だ・・・

 

 

 

 

宮川「被害者は富山織江32歳。凶器は何か固いもの。」

 「こんにちわー」

宮川「おっと、岩佐さん来ましたか。お忙しいところすみません」

 「いえいえ、ちょうど今ホルマリンのために天日干ししていたところですから」

宮川「ホルマリンに天日干し?^^;;;」

 「ええ、なんだか電球のようで頭に角のようなものが生えている代わった生き物なんですけどね、近くにYESとNOの札が落ちていて・・・」

 

 

 

宮川「わーーーーーーー^^;;;;;

 

 

 

 

やめましょう!やめましょう!ホルマリンの話はやめましょう!!!!!!」

 「何をそんなにあせっているんですか?」

宮川「いや^^;Hiroshiさんがせっかく作って、TRIさんが命名したあれがホルマリンになっているということがばれたら大変なことに^^;;;」

 「何のことだかわかりませんが、いいでしょう。それでどんな事件ですか?」

宮川「いや、事件ではなさそうです。ですので・・・

 

 

 

北陸大会終了!!!」

 

 「いったい何の話ですか?北陸大会終了って?」

宮川「こっちの話です(笑)みてください、壁に血の跡が。壁に滑って頭をぶつけたでいいでしょう。ただの事故ですよ。事故」

 「うーん、後頭部に壁をぶつけたのはいいですが・・・普通は壁に血がついているものですよね」

宮川「それがどうしました?」

 「頭を壁にぶつけて出血している割には流れている血の量が少ないんですよ。もっと流れていてもいいでしょうし。」

宮川「うむむ・・・」

 「それに頭見てください。何回も殴られた痕がありますよ。壁なら1回で済みますよね」

宮川「それなら何度も頭をぶつけたのだろう(汗)」

 「これは殺人事件ではないでしょうか?鑑識さん。このルームキーに指紋ついてますか?」

宮川「こら!それはわたしの仕事です!」

鑑識「指紋はついていないです」

宮川「ほーら。犯人の指紋なんてついているわけがないヽ(  ̄▽ ̄)ノ」

 「ということは、犯人が消したのでしょう。普通自分の部屋の鍵なら自分の指紋もついていますよね。それがないということは・・・おわかりですか?」

宮川「わかったわかった!おい!殺人事件に切り替えだ!すぐに連絡しろ!」

 「ちょっと遺品見せてもらいますね・・・?・・・?・・・?」

宮川「どうしました」

 「これをちょっとみてください」

 

10月10日

心が晴れ晴れした。全ての罪を償うつもりだ。決行は明日。あれだけずっと悩んできたが、もう一度やり直すことが大事。自分の性格で引き伸ばす前に本当に明日出頭しよう。スマッシュクイズなんて関係ない。今の私には出る資格などないのだから

 

10月11日

いまからあの人に会いに行く。到底あの人が説得に応じるとは思わないが、自分の気持ちを伝えてから、スッキリしたい。もうあれで人生を台無しにするのはこりごりだ。もう一度やり直したい。明日の日記を先に書いておきます。私からの最後の抵抗です。これからこの日記帳に続きを書くことはないでしょう。今度こそ、真人間になってから綴るつもりです。

 

10月12日

あなたはこのお祭りには参加できません。なぜならば私が頭の中でこさえた架空の村、中田村だからです。
中田村は東北でも海沿いの漁港であり独特の方言で中田語と言ってもいいぐらいです。
中田の民謡である中田くどきは、中田村の大地主であった黒沢氏が遊女をくどくために作った歌とされます。
初代城主の黒沢年男(くろさわとしおとこ)は中国人似とでも言えばいいのでしょうか?大陸文化を多く取り入れて貿易をおこなってました。その影響で隔月で行われる「だるま販売市」では神社に安置されているだるまにちなんでひらかれ、全国から観光客が大勢やってきます。

下図幹事舞え!後門司!

宮川「これがどうしました?」

 「みてください、10日と今日11日の日記にはこのように何かに悩んでいるようですね。これが事件の謎を解く鍵になるのかも・・・」

宮川「しかしなぁ・・・容疑者が浮かんでこないぞ。どこにも名前なんぞ書いてない」

 「・・・そっかー。なるほどね・・・   

 

  ちょっと行ってきます。」

宮川「おい!どこに行くんだ!!!」

 「犯人の所ですよー」

宮川「なに!!!   なにを世迷言を」

 「その日記、12日のところにちゃーんと書いてありますよ!よーくみてくださいね」

宮川「なんだと!!!!」

 

 

 

 

 

クイズ番組スマッシュクイズの本番まであと少し。私は楽屋に入ると普段なら新聞などに目を通すのだが、今回ばかりは問題カードを読み直さなければならない。チェックしておかないとどんなミスをするのかわからない。カードを開こうとしたその時にノックがした

沢田「どうぞー」

 「失礼します。沢田さんですね」

沢田「そうですが・・・?」

 「私、岩佐久美と申します。探偵事務所を開いておりまして・・・少々お話をよろしいでしょうか?」

沢田「何の話かはわかりませんが番組の本番前ですので後にしてもらえませんか。」

 

そのとき、楽屋をノックするもう一人の人物が・・・まさか探偵の次は警察か?

 

スタッフ「失礼します!沢田さん!!!実は・・・ごにょごにょごにょ。ですので変りの人を見つけるまでもう少しお待ちください」

 「時間ができたようですね^^」

沢田「いいでしょう。お話を伺いましょう」

 「いまのスタッフのお話はたぶん今回のスマッシュの挑戦者が亡くなられたということですね」

沢田「なぜそれを!」

 「そのお話を2,3お聞かせ願いたいのです。」

沢田「いいでしょう。お役に立てることはできないと思いますがお座りください」

 「まず、お亡くなりになられたのは富山さんという女性の方ですが沢田さんが宿泊していたホテルの隣の部屋の方です。」

沢田「そうなのですか?まったく知りませんでしたね」

 「ホテルの部屋からは何時ごろ出たか覚えてますか?」

沢田「確か3時ごろだったと。正確な時間までは覚えてません」

 「ちょうどその頃が死亡推定時刻とされているんですが、何か変ったことなどないですか?」

沢田「いえ、気がつきませんでしたね。」

 「誰か不審な人物でも?」

沢田「いえ、心当たりはないです」

 「そうですか、残念です。ちなみに富山さんとはお知り合いで?」

沢田「いえ、まったく知らないかたです。隣の部屋という偶然もあるのでしょうね」

 「そうですか・・・それと、これは重要なことなのですが・・・」

沢田「・・・・なんでしょうか」

 

 

 

 「私、富山さんの変わりに番組に出ることできませんか?むかしからこのスマッシュはよくみていたのですよ。」

沢田「あなた・・・調査に来たのではないですか(苦笑)」

 「調査とは名ばかりでw以前からこの番組に出てみたくてはがきを送っているのですが、中々お返事がこないものでして」

沢田「これも何かの縁ですね。いいでしょう。おい!おい!出演者のかわりは決まっていないだろ?この人が出たいって言っているから。いいだろ」

スタッフ「わかりました。お名前と出身地、そして趣味を教えてください」

 「岩佐久美、出身は熊本、趣味はホルマリン漬けです」

スタッフ「ホルマリン漬け?それは漬物の一種ですか?」

 「ええ、そんなものです(邪)」

スタッフ「わかりました。それではすぐに本番始めますのでスタジオに入ってください」

沢田「おいおい、まだこっちは準備できてないぞ。」

スタッフ「そんなの百戦錬磨の沢田さんなんですから!何かあったらカメラ止めますし。それではスタジオに入ってください。時間が押しているのでお早めに!」

 

売り言葉に買い言葉でこの女探偵がでることになった。時間が押していたせいでリハーサル無しの一発本番となった。途中でとちらないように、とちらないように、と思っても先ほどの殺人を思い出すといやがうえにでも興奮する。鎮めなければ・・・おちつけ・・・

 

こうして1分もしないうちに本番が始まった